カサ・ボティネス(Museo Casa Botines Gaudí)

カサ・ボティネスは1892年から1893年にかけてガウディがレオンで設計した商業兼集合住宅。石造の外観にネオゴシック様式を取り入れつつ、鉄骨構造や採光計画など近代的手法を採用。現在はMuseo Casa Botines Gaudíとして公開され、ガウディ初期の実践的建築思想を知る拠点となっている。

内部はムセオカサボティネスガウディとして公開され、設計図や模型を通じて建築思想を理解しやすい構成になっている。
観光時は開館日と入場時間が季節で変わるため事前確認が望ましく、館内は段差や階段が多いため歩きやすい靴が適している。写真撮影は制限がある展示もあり案内表示への注意が必要とされる。

ガウディの異色作カサ・ボティネス

この建物はレオン市に位置しており、現在は銀行の所有となっているが、建設当時は織物商の店舗兼住宅として設計された。外観は中世の城郭を思わせるネオゴシック様式を採用しているものの、内部構造には当時最先端の鉄骨造が取り入れられている。

聖ゲオルギウス像に隠された秘密

建物の正面入り口の上部には、守護聖人である聖ゲオルギウスが竜を退治する像が設置されている。この像には長年語り継がれてきたエピソードがある。1950年代に像の修復作業が行われた際、その内部からカサ・ボティネスの設計図のコピーや建設当時の新聞、そして出資者のリストといった資料が発見された。ガウディが後世の人々にメッセージを託すために意図的に隠したものと考えられており、タイムカプセルのような役割を果たしていた。

完成までの波紋と地元の反応

建設当時、このプロジェクトは順風満帆ではなかった。ガウディの斬新な設計は地元の専門家や住民から激しい批判を浴びた。特に建物の構造的な安定性を疑う声が多く、建設中には倒壊するのではないかという噂が絶えなかった。地元の人々はガウディをあざ笑うために、建物の周囲に工事用の支柱を模したデコレーションを勝手に設置するといった嫌がらせを行った。ガウディはこれらの批判に非常に立腹し、本来であれば現場に長く滞在する予定を切り上げてバルセロナへ帰還してしまったという。

失われた意匠と復元への試み

カサ・ボティネスにとって最大の悲劇とも言えるのが、1930年代から1950年代にかけて行われた内装の改修工事である。当時この建物を購入した銀行は、オフィスとしての利便性を優先するあまり、ガウディが設計したオリジナルの内装や装飾の多くを破壊した。木製の階段や独特の仕切りが取り払われ、一般的なオフィス空間へと変貌を遂げてしまった事実は、建築史における大きな損失として記録されている。現在は一部が復元されているものの、ガウディが意図した完全な空間を体験することはできない。

知っておきたい地下室の意外な設計工夫

建物の地下には広大なスペースが確保されているが、これはかつて織物商が大量の在庫を保管するための倉庫として活用されていた。ガウディはこの地下室の換気と採光に細心の注意を払い、周囲に掘りを作って光を取り込む設計を施した。しかし、レオンの厳しい冬の寒さを考慮していなかったため、地下は常に極寒の状態となり、働く従業員からは不評であったという。

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