スペイン滞在数日で髪質が変わったと感じる人は珍しくない。現地の水道水が日本人の飲料に適応しにくいという事実は広く共有されているものの、生活水としての対策は見落とされがちとなっている 。1週間から数カ月に及ぶ長期滞在において、入浴や洗顔で日々使用する水は肌や髪のコンディションに直接的な影響を及ぼす要因となる 。
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現地水質で起きた髪トラブル恐怖体験
筆者自身も、水の影響で大変な目にあったことがある。
スペイン滞在中、最初の約1か月は硬水の地域バルセロナで過ごし、その後別の街へ移動した。
問題が起きたのは滞在3か月目、新しく入居した住まいでシャワーを使い始めてからだった。シャンプーをしていると急に指通りが悪くなり、髪がギシギシする。数日後には切れ毛が増えていることにも気づいた。
栄養不足かもしれないと思い、亜鉛やマルチビタミン、ヘム鉄のサプリを毎日飲むようにしたが、大きな変化は感じられなかった。
滞在していた地域は軟水寄りとされていたため、以前滞在していた硬水環境の影響が残っていたのか、それとも住居の水質や塩素量の違いだったのかは分からない。ただ、このまま髪が全て無くなるのではないかと不安になったのは確かだ。
帰国して日本の水に戻ってからは、少しずつ状態は落ち着いていった。
水が違うだけで髪は変わる。水質が身体に与える影響
スペインの多くの地域は硬水であり、石鹸成分と結合して不溶性の石鹸カスを作るため、肌や髪に残って乾燥や刺激を招く 。水が肌や髪の理想的な弱酸性バランスを乱すため、バリア機能の低下や髪のゴワつき、抜け毛の原因となる 。 水道水の塩素濃度が高い地域もあり、これがタンパク質を酸化させて肌の保湿能力を奪い、髪のキューティクルにダメージを与える 。日本の軟水に慣れている人は皮脂バランスが急変し、肌荒れやフケが出やすくなる 。また、硬水を飲料水として大量に摂取すると、高いミネラル分が胃腸に負担をかけ、消化不良や下痢などの健康被害を引き起こすことがある 。
スペイン各地で異なる水の硬さ事情
スペインは広大な国土を持ち、地域ごとに水源の性質が大きく異なる 。滞在先によって水の感触が変わるため、移動が多い場合は柔軟な対応が必要となる 。
・「マドリードを含む中央部は比較的硬度が低く、配管の状態さえ良ければ日本に近い感覚で利用できる」 ・「バルセロナやバレンシアなどの東海岸、および南部アンダルシア地方は非常に硬度が高く、対策が必須のエリアとなる」 ・「島々(カナリア諸島やマヨルカ島など)や乾燥した沿岸地域では、海水の淡水化処理による水が含まれることもあり、独特の質感を感じる場合がある」
お湯が出なくなることや断水は珍しくない
スペインでは、水道や給湯器のトラブルで一時的にお湯が出なくなったり、水道から水が出なくなることは珍しくない。特に古い建物では配管の老朽化が原因となることが多い。短期間の断水やお湯停止は、現地の人も日常的に経験しているため、旅行者も慌てず対応する心構えが必要である。
洗濯習慣と硬水が衣類に与える影響
日本の家庭では水道水で毎日洗濯することが一般的だが、スペインでは洗濯の頻度や方法が異なる。多くの家庭では、硬水による衣類の傷みを避けるため、洗剤や柔軟剤を工夫する。また、公共のランドリーでは軟水が使用されることもあり、旅行者がホテルで衣類を洗う場合は、硬水用の洗剤を用意すると衣類のゴワつきを防げる。
硬水環境で髪と肌を守るための工夫
髪は水質や配管の不純物の影響を受けやすい 。1週間以上の滞在なら、日本から持参した製品だけでなく現地の環境に合わせたケアを取り入れるのがコツとなる
現地でシャンプーを調達する
日本のシャンプーは軟水で泡立つように設計されているため、硬水で使用すると泡立ちが悪く成分が髪に残りやすい性質がある 。スペインのスーパーや薬局で広く流通しているロレアルやパンテーンなどの製品は、硬水環境での使用を想定して調整されているため、現地で利用することで指通りの改善が期待できる 。
無香料シャンプーの探し方
「シン フレグランス(Sin fragancia)」や「Sin perfume(シン ペルフューメ)」という表記を確認する
スペイン語で無香料を意味するこれらの表示がある製品は、香料による刺激を避けたい場合に適している。
「ファルマシア(Farmacia)」と呼ばれる薬局で相談する
一般的なスーパーよりも、皮膚科推奨ブランドなどを扱う薬局の方が無香料や低刺激の製品を見つけやすい 。
敏感肌用の「ピエル センシブレ(Piel sensible)」向け製品をチェックする
無香料に加えて、硬水による乾燥や刺激を抑える設計のものが多く展開されている 。
酸性のケアによる調整
アルカリ性に傾いた髪を整えるため、最後にクエン酸を溶かした湯や薄めた酢で髪を流す方法がある 。これによりキューティクルが閉じやすくなり、石鹸カスや不純物の付着を抑える効果が見込める 。
拭き取り洗顔の活用
スペインを含む欧州では、水道水を使わない拭き取り洗顔が一般的だ 。ミセラーウォーターをコットンに含ませて汚れを拭き取る方法なら、肌に余計な石灰分や塩素を付着させずに済む 。現地ではビオデルマなどが定番として手に入る 。
保湿剤の種類
硬水地域では、水分を補うだけの化粧水では乾燥対策として不十分な場合がある。セラミド、シアバター、スクワランなど油分を含む保湿剤を併用すると、肌表面の水分蒸発を防ぎやすくなる。
飲料水選びで失敗しない判断基準
水道水は飲めるが、ミネラル分が多いため胃腸に負担がかかる 。特にマグネシウムが多い水は、お腹を壊すリスクがある 。
スーパーで水を買うときは、ラベルの「ミネラリサシオン デビル(Mineralización débil)」という文字を探すといい 。これはミネラル分が少ない、つまり軟水に近いという意味だ 。ランハロンやベソヤといった銘柄が、日本人には飲みやすく体調管理もしやすい 。なお、パエリアや煮込み料理には現地の水が合うが、お茶やコーヒー、日本米を炊くときには「ミネラリサシオン デビル(Mineralización débil)」の水を使うのがおすすめだ。
スペインの乾燥と水質は想像以上に肌を酷使するため、日本での使用量よりも潤いを補う意識で準備を進めることが重要となる 。
飲料水選びで失敗しない判断基準
観光地では、水道水よりも飲料水の自販機やレストランのボトル水が普及している。カフェやバルでは、水道水を頼むとボトルウォーターを勧められることが多いため、事前に確認することが必要だ。特に暑い季節の観光では、こまめに水分補給をするため、持ち歩き用のボトルを常備するのが安心だ。



















