
トラベルライター、WEBクリエイター。主にヨーロッパで海外ノマドしています。
自分の忘備録、旅のしおり感覚で綴ります。
カンタブリア州の州都サンタンデール(Santander)は人口約17万人の海辺の都市で、19〜20世紀にかけてスペイン王室の避暑地として発展した経緯がある。現在は富裕層向けのリゾートとしての側面が残りつつ、一般観光客も入れる海岸線と現代アート施設が共存している。1週間の滞在先として選んだのはカトリック系学生寮で、枕元に宗教画、壁は薄く、隣人の体調不良が筒抜けだった。
ビエドからALSAバスで約2時間30分。時刻表は3回来ても3回とも壊れていた

ALSAのオビエド〜サンタンデール間は直行便があり、所要時間は2時間15分〜3時間30分とばらつきがある。オビエドのバスターミナルは駅に隣接しているが、時刻表の電光掲示板が機能していないのは常態化しており、乗り場の確認は各バスのフロントガラスの行先表示を読む以外に方法がない。この状態が「壊れている」のか「もとからこういう運用」なのかは判然としない。チケットはネット事前購入が安全で、現地の券売機が稼働しているかどうかも確認が必要。

オビエド駅に隣接しているalsaのバスターミナルには滞在中に計3回来たが、いつも時刻表は壊れていた。どのバスに乗るかは、乗り場に停車している全バスのフロントガラスの表示で確認するしかない。

バスターミナルにも券売機はあるのだが、正常に動作しているか不安なのでネットで事前に購入した。

オビエドからサンタンデールへ抜けるルートは古代から「北の巡礼路(Camino del Norte)」の一部として使われており、カンタブリア戦争(紀元前29〜19年)の舞台でもある。ルート途中のコミージャス(Comillas)にはガウディが設計した「カプリーチョ(El Capricho)」があり、海沿いに突然現れるムーア風・東洋風の混在建築は、スペイン国内でもサグラダ・ファミリアの影に隠れがちな穴場作品のひとつ。もっとも今回はバスの車窓からは見えない。
- カミーノ・デル・ノルテの静かな巡礼路:中世の巡礼者たちは、メセタ台地を横断する「フランスの道(カミーノ・フランセス)」よりも、イスラム勢力の支配地を避けられ、かつ海に近いことで安全だったこの道を選ぶ事が多かった。
- カバルソンの峠を越える古代道:オビエドからサンタンデールへ向かう際に越える「カバルソン峠(Puerto de Cabuérniga)」やその周辺は、古代ローマ時代からの交通路でした。ローマ人はアスティリアスの金鉱や鉄鉱を運ぶために山岳道路を整備し、今もその名残が石畳や橋に残っている。
- カンタブリア戦争の舞台:紀元前29〜19年、ローマ帝国とカンタブリア人の激しい戦い(カンタブリア戦争)がこの地域で行われた。今でも山村の地名や伝承に、その戦いの名残が見られる。
- 小さな海辺の町の逸話:ルート途中のリバデセリャ(Ribadesella)は、洞窟壁画「ティト・ブスティージョ洞窟」で知られ、二万年前のクロマニョン人が残した絵が今も残る。また、コミージャス(Comillas)にはガウディが設計した「カプレリョ邸(El Capricho)」があり、海辺の町に突然現れる奇抜な建築は、十九世紀の貴族社会の象徴だ。

2時間30分でサンタンデールのバスターミナルに到着。若干年季の入ったターミナルのよう。


ターミナル前のタクシー乗り場でタクシーを待つ。5名ほどが先に待っているが、タクシーはなかなか来ない。20分ほど炎天下で待つことに。
夏季限定で一般開放されるカトリック系学生寮。枕元に宗教画、壁は薄く、隣室の一晩が筒抜けだった
スペインの大学・修道院系学生寮(Residencia de Estudiantes / Colegio Mayor)は夏休み期間中(7〜9月)に一般の宿泊施設として開放するケースがある。価格は同立地のホテルより安く、大きな机・シャワー・シングルルームという構成はノマドワーク向きの条件を満たしている。この施設は1916年建造の邸宅を経て、1979年のレストラン営業を経て現在の学生寮として使われている。カトリック修道会の運営のため館内の宗教的装飾は多い。枕元の宗教画の有無はチェックイン時に確認できないが、外すことへの心理的ハードルは宿泊者側の問題になる。


予約した部屋は6畳ほどの広さで、別にユニットバスがある。
高圧洗浄のようなシャワーが印象的。バスタブは日本の半分ほどのサイズだが、足を延ばして無理やり入っていた。
壁は薄く、防音性能は期待できないレベル。隣室からの音は種類まで把握できる。スペインの食中毒リスクは夏季に高まるため、特に魚介類の生食(刺身・カルパッチョ系)と保存状態が不明な海産物には注意が必要で、この点は旅行者にとって実用的な情報になる。

1916年に邸宅として建てられた建物は、カンタブリア州の富裕層建築の特徴を持っている。その後1979年にレストランに転用され、さらに学生寮へと業態変換した経緯は、スペインの歴史的建物の活用方法として珍しくないパターン。外観は19〜20世紀初頭の邸宅様式を保っており、学生寮としての機能と建物の格式のギャップが面白い。

フィットネスジムが「あるらしいがたどり着けなかった」という記録は、スペインの宿泊施設でよく起こる現象の典型例。施設案内が掲示されていない・スタッフに聞いてもあいまいな回答が返ってくる・実際に存在するが営業時間が不定期、の3パターンが多い。

カトリックの修道会によって運営されているため、施設内にキリストの絵や宗教的な装飾が多い。

スペインの学生寮で、しかも宗教的インテリアの施設に宿泊できたのは貴重な体験だ。

別室。かわいらしいインテリアの部屋もある。

宿泊した部屋からの眺め。車が数台止まっているが、車はほとんど通らない。

枕元に飾られていた宗教画。

学生用の勉強机は一般的なホテルのデスクより広く、モニターを置いてもスペースが余る場合が多い。Wi-Fiの品質はカトリック系施設によってばらつきがあるため、事前確認が推奨される。テレワーク目的での利用なら、夏季開放の学生寮は費用対効果が高い選択肢のひとつ。
まとめ
サンタンデールはスペイン北部のノマドワーク滞在先として実用性が高い都市で、ビーチ・市街地・郊外の海岸エリアが短距離で揃っている。カトリック系学生寮のような変わった宿泊オプションが存在し、コストを抑えながら大きな机と静かな環境が確保できる(壁の薄さを除く)。オビエドからのアクセスはALSAバスで2時間30分程度、時刻表は壊れているのでフロントガラスで乗り場を確認する。具体的な観光・食事・街歩きについては各記事を参照。























