
トラベルライター、WEBクリエイター。主にヨーロッパで海外ノマドしています。
自分の忘備録、旅のしおり感覚で綴ります。
サンティアゴ・デ・コンポステーラ7日目。
本日はサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の中を見学に。大聖堂の入場には事前予約が必要で、昨日は知らずに断られた。今日は準備した上で入場し、主祭壇を正面から見た。その後、地盤沈下で柱が内側に傾いたサンタ・マリア・ド・サール聖堂と、手つかずの森林公園・ブラニャス・ド・リオ・サルを歩いた。
大聖堂は事前予約制。知らずに来ると門前払いされる
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂は、キリスト教世界における最も重要な聖地の一つ。使徒ヤコブ(スペイン語でサンティアゴ)の墓がこの場所で発見されたという伝説が、巡礼路「カミーノ・デ・サンティアゴ」の起源となった。
大聖堂の歴史は古く、使徒ヤコブの墓の上に最初の教会が建てられたのは9世紀のこと。その後、何度も破壊と再建を繰り返し、現在の壮麗な姿となった。ロマネスク様式で建設が始まり、後にゴシック様式やバロック様式が加わったため、建築様式が混在しているのが特徴。特に、ファサード(正面)の「オブラドイロ広場」に面した部分は、バロック様式の傑作として知られ、細部にまで施された豪華な彫刻が人々を圧倒する。

実は昨日、事前購入が必要だと知らずに入場を断られてしまった。今日は失敗を繰り返さないよう、事前にネットでチケットを購入済み。これで安心して、じっくりと館内を見学できる。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の主祭壇は12世紀のロマネスク様式を起点に、17〜18世紀にバロック様式で大規模改修された。中央に立つ黄金の聖ヤコブ像は巡礼者がその背後から抱きしめる習慣があり、これをabrazo(抱擁)と呼ぶ。事前チケット購入は公式サイトまたは現地窓口で可能だが、繁忙期は数日前から埋まる。
羊飼いが星に導かれた話には、政治的な背景がある可能性がある
使徒聖ヤコブの遺骨発見から始まったこの街の歴史には、実は興味深い裏話がある。
9世紀、羊飼いが星の光に導かれて聖ヤコブの墓を発見したとされるが、この「奇跡的発見」の背景には、当時のキリスト教勢力がイスラム勢力に対抗するため、民衆の結束を図る政治的意図があったという説もある。
「コンポステーラ」の名前自体が「星の野」を意味し、この伝説を物語っている。

大聖堂の全長は約97mで、ロマネスク様式の聖堂としては欧州最大クラスのひとつ。巡礼シーズン中(6〜9月)は日中常時混雑しており、写真撮影には早朝の入場が有利。特別ミサ(Misa del Peregrino)は毎日正午から行われ、ボタフメイロの香炉儀式が見られる日は事前告知がある。
本日のカフェ

エスプレッソ&エンパナーダ。クッキーがおまけについてきた。
この地方には、コーヒーに茶請けが付いてくる習慣があるらしい。名古屋の喫茶店より歴史が古いようだ。
エンパナーダ(empanada)はガリシアの郷土料理で、小麦粉の生地にツナ・タコ・肉・野菜などを包んで焼いたもの。もともとは農作業や漁に出る際の携帯食として発展した。名古屋の喫茶店モーニングとの比較は笑えるが、文化的背景としてはサービス精神の表れという点で実際に近い。
本日のランチ

ケンタッキーでランチ。味は日本より大味で肉も硬め、途中で飽きてくる。複数のスパイスを使う日本の味付けの方が美味しく感じる。
KFCは世界150か国以上で展開しているが、レシピは国ごとに異なる。日本のKFCは醤油・生姜・にんにくを配合した和風アレンジが施されており、本場アメリカの塩分・油脂主体のオリジナルレシピに近いスペイン版は食べ比べとして参考になる。肉が硬いのは鶏種の違いによる可能性もある。

注文から受け取りまで日本と大体同じ。但しドリンクはカップのみ支給され、サーバーから自分で好きなだけ注ぐシステム。
欧米のファストフード店では飲み物のリフィル(おかわり)が無料の店が多い。これはソフトドリンクの原価が非常に低いため、客単価を下げずに満足感を高める戦略として機能している。日本では別料金または非対応の店がほとんどで、この点は欧米型のファストフード文化の特徴のひとつ。
地盤沈下で柱が斜めになったロマネスク聖堂。欠陥ではなく歴史
12世紀に建造されたサンタ・マリア・ド・サール聖堂は、軟弱地盤への基礎不足により早期から柱の傾斜が始まったとされる。傾きは現在も微小ながら進行中と見られており、外側から鉄製の補強材で支えることで倒壊を防いでいる。「欠陥建築」ではなく「生きた歴史の証人」として国の文化財指定を受けている。



内部に入ると柱の傾きが視覚的にはっきり確認できる。ロマネスク様式の半円アーチと傾いた柱の組み合わせは、本来の設計意図と地盤沈下の結果が複合した独特の空間をつくっている。訪問者が少なく静かなため、大聖堂とは対照的な体験ができる。


令和であることを忘れさせる手つかずの川沿い公園
ブラニャス・ド・リオ・サル公園(Parque Brañas do río Sar)
サル川の流域にある、30ヘクタール以上におよぶ広大な自然空間。
かつては地元の人が水浴びをしたり、洗濯をしたり、農作業をしたりする場所だった。
公園内には、ローマ時代の道の一部や巡礼路「銀の道」のルートの一部が含まれており、歴史的な雰囲気を味わえる。

案内図は、どこもこのようにガビガビになっている。スペインの屋外案内板は紫外線と雨に弱い素材(ラミネート加工紙・低品質プラスチック)が多く、数年で判読不能になる例が珍しくない。サンティアゴの多雨環境はこの劣化を加速させる。近年は金属製プレートやQRコード誘導型に移行している施設が増えているが、既設のものは予算不足でそのまま放置されている場合が多い。

ブラニャス・ド・リオ・サル公園はサル川の氾濫原を含む30ヘクタール以上の自然保護区で、かつては洗濯・農作業・水浴びに使われた生活空間だった。現在は市民の散歩・ジョギングコースとして機能しており、ローマ時代の道の一部と中世の巡礼路(銀の道)のルートが公園内に残っている。

良い意味で、手つかずの森林公園。

ガリシアはカメリア(椿・山茶花の仲間)の生育に最適な気候を持ち、スペイン国内で最も多く自生・栽培されている地域。カメリアという名前はイエズス会の修道士ゲオルク・ジョセフ・カメルにちなんでつけられた。ガリシア語では「Camelia」と表記され、ガリシア州のシンボル花にもなっている。

ベニバスモモ(Prunus cerasifera「Pissardii」)はイランからコーカサス原産で、19世紀に欧州の庭園木として普及した。赤紫色の葉は葉緑素よりアントシアニンが優位な状態で、直射日光が強い環境ほど色が濃くなる。スペインでは街路樹・公園木として使われることが多く、秋に小さな実をつけるが食用にはあまり向かない。


ワッサーな苔。ガリシアのジメジメした森で繁茂するのはハネゴケ科(Hypnaceae)やムチゴケ科(Frullaniaceae)などの蘚苔類が多い。

スペインに自生するヒルガオは「Calystegia sepium(ヒルガオ)」または近縁種で、日本のヒルガオと植物学的に近い関係にある。花は朝に開き、日中に閉じる1日花。ガリシアでは道端・川沿い・農地の周辺に多く見られる。スペイン語ではCorrehuela(コレウエラ)と呼ばれる。

この感覚は観光地として整備されていない自然空間特有のもので、ガリシアの農村・川沿いにはこうした「時代感覚が狂う」ような場所が多い。スペインの農村人口の減少率は欧州でも高く、20世紀後半に多くの集落が無人化したことで、むしろ人の手が入らなくなった風景が残っている。令和であるということをつい忘れてしまう。
本日の寄り道

独創的すぎるワインボトルラック。ガリシアのワイン消費量はスペイン国内でも高い部類で、バルやレストランではアルバリーニョを中心とした地元産白ワインが常備されている。ワインラックをオブジェとして見せる習慣はスペイン全土のバル文化に共通で、陳列の創造性はほぼ完全に店主の裁量に委ねられている。

お店のショーウィンドウには、ディスプレイ用なのか商品なのか見分けがつきにくいものが混在している所が多い。

日本風のタッチに近いイラストだが、スペインのアンナ・モンテス(Anna Montes)の作品。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼者のシンボル「ホタテ貝」。サンティアゴ・デ・コンポステーラのお土産のモチーフとしてダントツに多い。
巡礼者が首にかけるホタテ貝は、もともと「水や食べ物をすくう器」として使われていた万能ツール。巡礼者のアイコンというより、旅の必需品だった。

旧市街は全て11世紀から18世紀に建てられた古い石造り。なのでお店のディスプレイも必然的にこうなる。

ライオンをモチーフにした彫刻。ライオンは悪魔や異教徒を象徴する動物として、キリスト教の象徴となっている。

柱の1本1本違うデザインの彫刻を施している。やりがいのある仕事というか、気が遠くなる仕事といくか…。

この地域の伝統的な建築様式の特徴の、テラコッタ製の半筒形瓦。

特産品の蛸を蛸をモチーフにした食器。買おうかどうかずっと迷っていた。

スペイン王国聖地巡礼マップ。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の象徴である「足」をモチーフにしたブロンズ像。

スペインらしい大胆なデザインの照明。スペインのイラストレーター、アンナ・モンテス(Anna Montes)の作品。



レストランの看板。

リサイクル家具の配達車。

スペインの至る所でこの温泉マークを目にする。なぜなら、スペイン国内最大手、かつ世界有数の規模を誇る銀行サンタンデール銀行のロゴだから。現在のロゴは炎を形象化したものとされるが、日本の温泉マーク(♨)との類似性は広く指摘されており、スペイン人も認識している。世界トップ10の銀行のひとつで、ブラジル・英国・メキシコなど欧米中南米に強い。

一軒家の隠れ家風レストラン。

地元のアーティストであるヨセバMP(Yoseba MP)が制作した壁画。
この壁画シリーズは、ガリシア地方の「スーパーおばあちゃん(Superabuelas Galegas)」に敬意を表する一連の壁画。

多機能遊具。

薔薇。

作風がティーンエイジャー風な落書き。





























