サンティアゴ・デ・コンポステーラ5日目。
5日目にして初めてまともに晴れた。旧市街には46の教会があり、どの小道でもフォトジェニックと現地では言われているが、どこへ行っても急坂と石畳がある事実は変わらない。アラメダ公園の眺望スポットは「それほど眺望は良くない」という率直な感想に尽きる。

トラベルライター、WEBクリエイター。主にヨーロッパで海外ノマドしています。
自分の忘備録、旅のしおり感覚で綴ります。

それにしてもサンティアゴ・デ・コンポステーラはどこへ行っても急な坂&階段だらけで、足腰に自信のある人にしかおススメできない。
私も十分に脚力が鍛えられ、サンティアゴ・デ・コンポステーラ5日目にして中殿筋(尻のすぐ上の筋肉)がお尻よりも突出する事となった。
旧市街を歩く。石畳と坂と教会の繰り返しだが、飽きない理由がある
巡礼の最終地、サンティアゴ・デ・コンポステーラの旧市街は、まさに生きた歴史の博物館だ。
1985年にユネスコ世界遺産に登録されたこの歴史的中心地区は、単なる古い街並みではなく、中世から現在に至るまで、巡礼者たちを迎え入れ、彼らの信仰と文化を育んできた場所そのもの。
荘厳な大聖堂を中心に広がる旧市街は、迷路のように入り組んだ石畳の路地、重厚な石造りの建物、そして歴史を物語る広場や教会で構成されている。ここでは、ロマネスク、ゴシック、バロックといった様々な建築様式が混在し、街の長い歴史を視覚的に伝えている。
旧市街を散策することは、ただ観光するだけでなく、何世紀にもわたってこの街を形作ってきた巡礼者たちの足跡を辿り、その深い歴史と文化を肌で感じることなのだ。

サンティアゴ・デ・コンポステーラには公共の水飲み場(fuente)が旧市街だけで20か所以上ある。中世には巡礼者への水の提供が宗教的な慈善行為とされており、教会や修道院が積極的に水飲み場を設置した。現在も飲料水として使える施設が多い。

スペインのバル(bar)は日本の居酒屋とカフェを合体させた業態で、朝のエスプレッソから深夜のビールまで同じ店が提供する。

全国に約10万軒あるとされ、人口比でのバル密度は世界最高水準のひとつ。ガリシアでは特に朝のバル文化が根強く、出勤前の立ち飲みエスプレッソが日常的。

スペインの飲食店看板は規制が緩く、素材・デザイン・サイズに統一基準がない地域が多い。手書き・彫刻・タイル・ネオンと様式が混在しており、看板を眺めるだけで街の歴史的な積み重ねが分かる場合がある。

ガリシア料理の看板によく描かれるのはタコ(プルポ)・エンパナーダ・ピミエントス・デ・パドロン・アルバリーニョ(白ワイン)の4つ。これらはガリシア観光の食的シンボルで、観光客向けの店はほぼ必ずこのいずれかを前面に出している。

スペインの通学路サインは自治体によってデザインが異なり、標準化されていない。子供の図像が使われる点は日本と共通だが、色使いや書体が各地でバラバラ。一方、スペールでは「camino escolar seguro(安全な学校道)」という概念が自治体の交通政策として存在し、歩行者優先ゾーン設定と連動している。
日本だとこれ↓


ガリシアの石造建築の壁の目地部分は、高湿環境と風で運ばれた種が発芽しやすい環境になっている。ここに咲くのはナリヒラヒメドコロ(Centranthus ruber)やカタバミの仲間が多く、特に南向き壁の乾いた目地部分に定着しやすい。

壁から野花が垂直に咲いている。


サンティアゴ・デ・コンポステーラは人口約10万人の都市だが、46の教会・礼拝堂が旧市街および周辺に集中している。これは中世から続く巡礼地としての機能に加え、ガリシア大学(USC)の存在が宗教施設の維持を支えてきた側面もある。人口あたりの教会密度では欧州有数の水準。

サンティアゴ・デ・コンポステーラのごく一般的な街並み。どこにいても歴史の深さを味わうことが出来る。

招き猫はスペイン・イタリア・ポルトガルなどの飲食店・土産物店で広く販売されている。スペインでの普及は1990年代以降で、中国系移民が経営する雑貨店を通じて広まったとされる。日本発祥の縁起物という認識は薄く、単に「幸運のキャラクター」として受容されている。90日間のスペイン滞在中に30体は見かけた。

キャンディショップ?と思いきやビーチグッズショップ。



旧市街には、歴史を物語る年季の入った教会が数多く点在している。ロマネスク様式やゴシック様式など、様々な時代の建築様式が混在している。

歴史的な美術品を扱う店に飾られているルイ14世の胸像。

キリスト像の造形は時代・地域・作家によって大きく異なる。スペインではポリクロミア(彩色木彫)の伝統が強く、バロック期の彫刻は特に写実的で血や涙を詳細に表現したものが多い。土産物屋に並ぶキリスト像の様式の幅広さは、そのまま西洋美術史の縮図とも言える。
ここまで一貫性が無いとむしろ気持ちがいい。

教会の庭に咲いているミッドナイト・マジック・ダリア。レトロ感がいかにもスペイン。ダリア(Dahlia)はメキシコ原産の植物で、18世紀にスペイン経由でヨーロッパに持ち込まれた歴史がある。ダリアの学名Dahliaは、スウェーデンの植物学者アンデシュ・ダールに由来。ガリシアの涼しく湿った気候はダリアの栽培に向いており、夏から秋にかけて旧市街の花壇や修道院の庭で目にする。

2024-07-12 09.21のサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂。パワースポットらしいので、実は毎日訪れていた。

大聖堂正面のオブラドイロ広場は縦90m×横60m規模で、スペインで最も印象的な広場のひとつとされる。正面ファサードはガリシア・バロック様式の頂点とも言われ、設計したフェルナンド・デ・カサス・ノボアが1750年に完成させた。晴れの日の花崗岩はやや黄みがかった白色になり、雨の日とは全く別の色に見える。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂広場でtiktokを撮影する子供たち。スペインのZ世代におけるTikTok利用率は欧州でも上位に入り、聖地・世界遺産・観光スポットでのコンテンツ制作は日常的な光景になっている。ユネスコはこうした行動が文化遺産への敬意を損なう可能性について議論しているが、スペインでは規制よりも活用の方向で動いている自治体の方が多い。

ガリシア地方のブランド、「サンタナ(Sanatana)」の作品。サンタナはガリシア発の繊維・デザインブランドで、ケルト・ガリシアの伝統文様を現代的にアレンジした製品を展開している。ガリシアのデザイン産業は小規模ながら独自のアイデンティティを持つブランドが存在し、バルセロナのデザインシーンとは異なる方向性を持っている。

テンプル騎士団は、中世のキリスト教騎士修道会。その滅亡後、様々な都市伝説や陰謀論の対象となった。
例えば、「13日の金曜日」が不吉とされるのは、1307年10月13日の金曜日にフランス国王の命令で騎士団が一斉に逮捕された出来事が起源とする説がある。
また、彼らが神秘主義的な知識を持ち、フリーメイソンの起源となったという説や、イエス・キリストの血筋に関する重大な秘密を握っていたという説など、数々の興味深い噂が語り継がれている。

近代的な十字架。

無作為な松。

幸せそうな表情の噴水の馬。馬はガリシアの文化的シンボルで、山岳地帯には半野生の馬(Cabalo do monte)が現在も生息している。毎年夏にはこの野生馬を捕獲・品種管理するラパ・ダス・ベスタス(Rapa das Bestas)という伝統的な祭りが行われる。噴水の馬がなぜ満足そうなのかについては不明。

巡礼博物館(Museum of Pilgrimage)のトイレの荷物フック。


鳩が良く似合う噴水。
眺望スポットとして有名なアラメダ公園。眺望はそれほど良くない
アラメダ公園
アラメダ公園(Parque da Alameda)の歴史は古く、16世紀にアルタミラ伯爵が市に寄贈した土地がもとになっている。全体で約5.6ヘクタールの広さがあり、旧市街やサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を一望できる絶好の展望スポットとして知られている。
が、ぶっちゃけそれほど眺望は良くない。

アラメダ公園のベンチ。細かい彫刻が施されている。19世紀末〜20世紀初頭に設置されたもので、鋳鉄製の脚部に植物・動物のモチーフが彫られている。スペインの公共公園で見られるこのスタイルのベンチは「バンコ・デ・ヒエロ・フンディード(鋳鉄ベンチ)」と呼ばれ、同時期の欧州都市公園に共通する様式。

サンティアゴ・デ・コンポステーラのあちこちで見かけるマリアとコニータ・カベーロ姉妹。
日本でも似ている人をテレビで見かけた事があるが、この姉妹(María Fandiño Ricart)はスペイン内戦後のフランコ独裁政権時代に、毎日決まった時間に鮮やかな服装で街を散歩していたことで地元の人気者だったそう。

芥川龍之介 と三島由紀夫と寺山修司と太宰治を足したような存在のラモン・デル・バリェ=インクラン(Ramón del Valle-Inclán)が陣取っているベンチ。


アラメダ公園は、眺望スポットとして知られているが、それよりも樹齢百年を超えるヤシやカメリア、アラウカリアなど、歴史を刻んできた荘厳な木々が点在しており、歴史ある木々の美しさをじっくりと味わうのに最適な場所だ。

アートなのか倒木なのか、もはや分からない。

天然のドット柄。



集合巣箱(ホテル・フォー・バーズ)は欧州の都市公園で増えているインスタレーションで、都市部の鳥類保護を目的として設置される。アラメダ公園のものはデザイン性が高く、公園のアートとしても機能している。サンティアゴでよく見られるのはムネアカヒワやコマドリなど小型の鳴鳥類。
本日の夕食

グラタン&ビール。





























