スペイン国境に近い戦略的な立地から、中世には要塞都市として発展し、現在は豊かな歴史と独自のバスク文化が息づく街として知られています。フランスのチョコレート発祥地であり、バイヨンヌハムの産地としても有名です。この街の歴史、美食、そして最大級の祭典バイヨンヌ祭の魅力をご紹介します。
Contents
巡礼路が残したゴシック様式の偉容
サント・マリー大聖堂（Cathédrale Sainte-Marie）
世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の一部として登録されている、街の象徴的なゴシック建築です。13世紀から建設が始まり、尖塔や壮麗なファサードが街の景観を圧倒します。内部の美しいステンドグラスは必見で、イングランド支配下にあった時代の影響も色濃く残しています。宗教的な荘厳さと歴史的な重みが凝縮された、バイヨンヌ観光の核となるスポットです。
歴史的建造物が集まる市の中心地区
グラン・バイヨンヌ（Grand Bayonne）旧市街
アドゥール川とニーヴ川に挟まれた旧市街の主要地区で、市庁舎や大聖堂、多くの商店が集まるバイヨンヌの中心地です。バスク地方特有の、赤や緑の木組みが美しい建物が並び、石畳の通りにはカフェやブティックが軒を連ねています。この地区は昼夜を問わず活気があり、歴史的な景観を楽しみながらショッピングや食事を満喫できる、観光と市民生活が融合したエリアです。
文化施設が集積するニーヴ川対岸エリア
プチ・バイヨンヌ（Petit Bayonne）旧市街
ニーヴ川を渡った対岸に位置する地区で、グラン・バイヨンヌとはまた違った落ち着いた雰囲気が魅力です。この地区にはバスク博物館やボナ美術館といった主要な文化施設が集積しており、「芸術の地区」とも呼ばれます。川沿いのテラス席で休憩する人々や、歴史的な建物を背景に散策を楽しむ観光客が多く、落ち着いた憩いの場となっています。
バスク民族の歴史と文化を伝える施設
バスク博物館とバイヨンヌの歴史（Musée Basque et de l’histoire de Bayonne）
プチ・バイヨンヌ地区の歴史的な建物を利用した、バスク文化と歴史に特化した博物館です。バスク地方の伝統的な衣装、農具、漁業の歴史、そして独特の民族文化について深く学ぶことができます。バスク語の表記やペロータ（バスクの球技）など、フランスともスペインとも異なるバスク独自のアイデンティティを理解するための必見スポットです。
旧市街への玄関口となるアドゥール川の橋
サンテスプリ橋（Pont Saint-Esprit）
アドゥール川にかかる主要な橋の一つで、バイヨンヌ駅と市街地を結んでいます。この橋は、かつてサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の重要な通過点であり、多くの巡礼者が渡った歴史を持っています。橋の上からはアドゥール川の雄大な景色と、川沿いに並ぶ美しいバスク様式の家々を一望でき、フォトスポットとしても人気が高いです。
街中の喧騒を避けた静かな緑地帯
バイヨンヌ植物園（Jardin Botanique de Bayonne）
バイヨンヌの旧市街近くにある、静かで美しい庭園です。日本の庭園様式を取り入れたエリアを持つこの植物園は、観光客に安らぎを与え、市民の憩いの場となっています。季節の植物や花々が手入れされており、街歩きの途中で自然の美しさに触れ、リフレッシュするのに最適な場所です。
フランス南西部の旅の始点と終点
バイヨンヌ駅周辺（Gare de Bayonne）
街の中心部から少し離れたアドゥール川の向こう岸に位置しますが、バイヨンヌの旅の起点となります。ここからパリやボルドー方面、さらにはスペイン方面への列車が発着しており、観光客にとって最初に足を踏み入れる場所です。駅前の橋を渡ればすぐに旧市街へアクセスできます。
地元食材とハムが集まる活気ある市場周辺
中央市場（Carreau des Halles）
市場内や周辺には、購入した食材を調理して提供する屋台やカフェ、レストランがあり、賑やかな雰囲気の中でランチやタパス（バスク地方ではピンチョス）を楽しむことができます。地元の美食を楽しむウォーキングツアーやフードツアーの出発点となることが多く、グルメを目的とした旅行者にとって必須の訪問地とされています。
