フランスのナルボンヌは、地中海に近いフランス南部のオキシタニー地域圏に位置する、歴史と美食が調和した魅力的な街。かつてローマ帝国の属州ガリア・ナルボネンシスの首都として繁栄した「ローマの娘」とも呼ばれるこの街には、当時の面影が今も色濃く残っている。
街の中心部を流れるロビーヌ運河は世界遺産に登録されており、人口は約59,000人、フランスの都市としては中規模。1990年代には4万人台だったが、近年は南フランスへの移住ブームもあり、少しずつ増加している。
Contents
- 1 バルセロナ発ナルボンヌへの最適ルートと移動のコツ
- 2 ナルボンヌ駅から市街地へ
- 3 地元の生活が集まる大市場(グラン・マルシェ)
- 4 屋内市場レ・アール(Les Halles de Narbonne Market)に集まる地元の食
- 5 ナルボンヌを貫く歴史の動脈ロビーヌ運河
- 6 街の中心に残る未完のナルボンヌ大聖堂(Cathédrale Saint-Just et Saint-Pasteur)
- 7 ナルボンヌ大司教宮殿(Palais-Musée des Archevêques, Palais Vieux)とナルボンヌの歴史的背景
- 8 ローマ時代の穀物庫ロマン・グラナリー・ミュージアム(Roman Granary Museum)
- 9 地中海沿岸特有の街並み
- 10 街路に続くプラタナスと草花
- 11 ナルボンヌを後にして
- 12 バルセロナ カテゴリー一覧
バルセロナ発ナルボンヌへの最適ルートと移動のコツ
バルセロナ・サンツ駅からフランス国鉄(SNCF)やスペイン国鉄(Renfe)が運行する高速列車を利用するのが最も快適な方法。
バルセロナからナルボンヌまでは国境を越えますが、シェンゲン協定圏内のため、通常はパスポート検査はない。但し、駅窓口で切符を購入する際など、パスポートを提示しなければいけない事があるため、パスポートは持参することをお勧めする。

バルセロナ・サンツ駅からナルボンヌ(Narbonne)駅までの切符を購入する方法
スペインのバルセロナ・サンツ(Barcelona・Sants)駅からフランスのナルボンヌ(Narbonne)駅までの切符を購入する方法は、主に「オンラインでの事前予約」か「駅の窓口・券売機での当日購入」の2通り。
この区間はスペイン国鉄のRenfe(レンフェ)とフランス国鉄のSNCF(フランス国鉄)がそれぞれ高速列車を運行している。
バルセロナからフランスへ向かう高速列車は全席指定制で、特にハイシーズンや週末は満席になることがある。当日駅で購入するよりも、事前にオンラインで予約しておく方が料金も大幅に安くなる傾向にある。
オンラインで購入する
最も確実で安く購入できる方法。通常、乗車日の数ヶ月前から予約が可能。
Renfe公式サイト(スペイン国鉄)
スペイン側の運行会社で、AVE(高速鉄道)のチケットを直接購入できる。

SNCF Connect(フランス国鉄公式サイト)
フランス側の運行会社。TGV・InOui(イヌイ)の予約に適している。

Omio(オミオ)
日本語に対応している、複数の鉄道会社を比較して一括検索できる予約サイト。



ナルボンヌ駅から市街地へ

駅構内にはL’Agora(ラ・アゴラ)というキオスク・売店があるが、品揃えは限られている。また駅前にもいくつか飲食店はあるが充実した食事を楽しみたい場合は、駅から少し歩いて市街地へ向かうのがおすすめ。





地元の生活が集まる大市場(グラン・マルシェ)
ナルボンヌの日曜日に開催される大市場(グラン・マルシェ)は、南フランスでも最大規模の市場の一つであり、出店数は通常300店舗から500店舗にものぼる。
この市場は、屋内市場である「レ・アール」の周辺から、ロビーヌ運河を挟んだ対岸のミラボー通りまで広範囲にわたってテントが並ぶため、その規模と賑わいは圧倒的。







屋内市場レ・アール(Les Halles de Narbonne Market)に集まる地元の食
約60以上の店が軒を連ね、新鮮な地中海の魚介類、ジビエ、地元のチーズ、ワイン、オリーブなどが所狭しと並んでいる。
「レ・アール(Les Halles de Narbonne Market)」は、1901年に完成した美しい建築様式を誇る屋内市場で、2022年にはフランスのテレビ番組で「フランスで最も美しい市場」に選ばれたこともある。
外観は、パリの古い中央市場(レ・アール)と同じ「バルタール様式」と呼ばれる、鉄とガラス、レンガを組み合わせた19世紀末の産業建築の粋を集めたデザイン。


ナルボンヌを貫く歴史の動脈ロビーヌ運河
ナルボンヌにとってロビーヌ運河は、単なる水路ではなく、街の繁栄を支えてきた歴史的象徴であり、現在は生活と観光の中心となる「心臓部」のような存在。
この運河は17世紀後半にミディ運河と地中海を結ぶ連絡路として整備され、かつてのオード川の旧河道を利用して造られた。全長は約32kmに及び、1996年にはミディ運河の延長線上の資産としてユネスコ世界遺産に登録されている。

古代ローマ時代、ナルボンヌは地中海貿易の拠点であったが、堆積物によって港が閉塞し海から切り離された歴史を持つ。ロビーヌ運河の開通は、衰退しかけた街に再び水運による物流をもたらし、ワインの輸送拠点としての地位を回復させる役割を果たした。
現在の運河は物流の主役から観光と市民の憩いの場へと変貌を遂げている。街の中心部では商人橋と呼ばれる建物一体型の橋が運河を跨ぎ、独特の景観を形成している。

街の中心に残る未完のナルボンヌ大聖堂(Cathédrale Saint-Just et Saint-Pasteur)
ナルボンヌ大聖堂(サン・ジュスト・エ・サン・パストゥール大聖堂/Cathédrale Saint-Just et Saint-Pasteur)は、13世紀に着工されたゴシック様式の建築物。
当初はフランス北部で見られるような巨大な合唱席を持つ野心的な設計がなされていたが、都市の防衛壁との干渉や財政難、さらには14世紀に流行したペストの影響により、建設が途中で断念し、未完成のまま現在に至っている。


ナルボンヌ大司教宮殿(Palais-Musée des Archevêques, Palais Vieux)とナルボンヌの歴史的背景
大司教宮殿は、この街が歩んできた長い歴史を象徴する巨大な建築群として知られている。宮殿は大きく分けてパレ・ヴューと呼ばれる旧宮殿と、パレ・ヌフと呼ばれる新宮殿の2つの区域で構成されている。パレ・ヴューは12世紀から13世紀にかけて建設が始まり、当時はキリスト教の有力な指導者であった大司教の住居として使われていた。石造りの堅牢な外観は、当時の宗教的な権威だけでなく、防衛拠点としての役割も兼ね備えていた。

現在はパレ・ミュゼという名称の通り、内部の多くが美術館や考古学博物館として一般に公開されている。展示品には古代ローマ時代の壁画や中世の彫刻、さらには東洋の美術品まで含まれており、ナルボンヌが地中海貿易の重要拠点として栄えた証拠を間近に見ることができる。





ナルボンヌ市庁舎(メリー/Mairie de Narbonne)
ナルボンヌ市庁舎(Mairie・de・Narbonne)は、かつての大司教宮殿を利用した歴史的な建造物となっている。この建物は、中世の要塞としての特徴を残す複数の塔や、ゴシック様式の装飾が施された外壁によって構成されている。現在は行政の拠点として機能しているが、内部には美術館も併設されており、地域の歴史を伝える役割を担っている。
市庁舎広場
ナルボンヌ市庁舎の目の前に広がる市庁舎広場には、紀元前118年頃に建設されたヴィア・ドミティアというローマ街道の遺構が一部露出した状態で保存されている。古代の石畳を直接観察できる。



ローマ時代の穀物庫ロマン・グラナリー・ミュージアム(Roman Granary Museum)
ロマン・グラナリー・ミュージアムは、紀元前1世紀頃に建設された地下倉庫の遺構を展示する施設。かつてこの地はローマ帝国の属州ガリア・ナルボネンシスの首都として繁栄した。この博物館の最大の見どころは、地下に広がるホリウムと呼ばれる保存倉庫の跡。




地中海沿岸特有の街並み
ナルボンヌは古代ローマ時代からの歴史を持つが、現在の街並みは中世から19世紀頃の様式が中心となっている。地中海沿岸特有の石造りやレンガ造りの多層階集合住宅が多く、厚い壁や木製のシャッターが特徴。











街路に続くプラタナスと草花
メインストリートには圧迫感のあるプラタナスの木が続く。 19世紀のフランスでは、都市計画の一環としてプラタナスが好んで植えられた。南フランスの夏は日差しが非常に強く、歩道全体を覆うような涼しい木陰(グリーン・キャノピー)を作り出す。

ナルボンヌは地中海性気候に属しており、乾燥や暑さに強い植物が街路樹や公園の植栽として選ばれている。これらの植物は景観を美しく保つだけでなく、維持管理のしやすさから都市緑化に活用されている。
特にQuartier Est(カルティエ・エスト / 東地区)は近代的な再開発が行われたエリアであり、景観設計の一環として地中海性の植物が計画的に配されている。






ナルボヴィア博物館(Narbo Via museum)はこちら →
ナルボンヌを後にして
南仏の田舎町を訪れたのは今回が初めてだった。
ゴシック建築や自己主張の強いスペインの建築にしばらく触れていたせいか、ナルボンヌの街並みは驚くほどシンプルに映った。
装飾は控えめだが、ローマ時代にまでさかのぼる長い歴史が随所に感じられ、街の印象を一言で表すなら「狭くて深い」という表現がしっくりくる。
なかでもナルボヴィア博物館(Narbo Via museum)は、展示物の内容だけでなく、その見せ方にも独自性があり、強く印象に残った。
街が最も活気づくのは日曜日に大市場(グラン・マルシェ)が開かれる時間帯だが、その一方でショッピングストリートは多くの店が休業し、全体としては静かな雰囲気になる。観光に適した曜日については、少し判断が難しいと感じた。













