Contents
サンセバスチャン旅行で絶対に外せない食のハイライトといえば「ピンチョス」!美食の街バスク地方で愛されるこの小さな料理は、もはやアートです。この記事では、旧市街でのスマートなバルの回り方から、地元民に愛される定番食材、そして迷わないための注文フレーズまで、サンセバスチャンのピンチョス体験を100%楽しむための実践的な情報をご紹介します。
サンセバスチャンのバルの歩き方
サンセバスチャンのバル巡りは、日本でいう居酒屋やレストランでの飲食とはルールが大きく異なります。より多くの店を効率よく楽しむためには、現地の「立ち飲み・さっと出る」というスタイルを理解し、混雑を避けたスマートな歩き方を身につけることが重要です。
基本は「さっと注文して、さっと食べて、さっと出る」スタイル。
複数人でワイワイ長居する場所ではなく、どちらかというとカウンターだけのラーメン屋のような感覚だ。食べ終わったら席を譲るのがマナー。
ピークタイムは避けるのが賢明。
どの店も混み合うため、迷ってウロウロしていると時間だけが過ぎてしまう。空いている店にどんどん入るのが正解。どうしても行きたい店がある場合は、そこに絞って他は潔く諦めよう。特に有名店は常に満席だ。
複数のエリアをはしごする
旧市街だけでなく、新市街や港周辺など、エリアごとに雰囲気やピンチョスの特色が異なる。時間に余裕があれば、はしごで食べ比べも楽しい。
多くの店を巡りたいなら、ひとりで回るのがベスト。
午後2時から5時ごろのオフピーク時間帯がねらい目で、ゆったりとピンチョスを味わえる。
旧市街のピンチョスは観光客向けの定番が中心。
本当においしいピンチョスを求めるなら、郊外やビルバオ方面まで足を延ばす価値がある。
酒も忘れずに楽しみたい。
ワイン、サングリア、ビールなど種類も豊富で、どれもレベルが高い。地元の人が好む地酒チャコリ(微発泡白ワイン)もぜひ試してみよう。
ピンチョスの台となるパンにも注目。
どの店も素材や焼き加減にこだわっており、具材とのバランスを計算して作られている。
一度にあれこれ取らずに少しずつ
ピンチョスは小さいとはいえ種類が多い。まず1〜2品だけ取り、味を確かめながら次を選ぶのが賢い。満腹になる前に次の店へ移動できる。
写真は食べる前にさっと
観光客は写真を撮りたくなるが、混雑時は手早く済ませる。待たされると店の回転が落ち、地元客にも迷惑になる。





サンセバスチャン旧市街の歩き方
サンセバスチャンの心臓部であり、最も熱狂的なピンチョスの舞台となっているのが、旧市街(Parte Vieja)だ。中世の面影を残す石畳の細い路地には、数十軒のピンチョス・バルがひしめき合っている。
1.旧市街の入口を把握する
旧市街は狭い路地が迷路のように入り組んでいるため、まずは主要な入口(ポルタ・デ・ラ・マリーナ周辺やサン・ビセンテ広場周辺)を確認すると迷いにくい。
2.路地を散策しながらバルを探す
旧市街の魅力は路地ごとの表情にある。観光客向けの広場だけでなく、小道を覗くと地元民御用達のバルや小さなカフェに出会える。
3.時間帯で街の表情を楽しむ
午前は市場やカフェが中心で落ち着いた雰囲気。昼前後はピンチョスバルが混雑し活気にあふれる。夕方は地元客が集まり、観光客は少し落ち着いた時間帯を楽しめる。
4.旧市街の主要広場と歴史的建物を押さえる
・プラサ・デ・ラ・コンチャ:海沿いの中心広場で景観を楽しむ
・サン・ビセンテ広場:旧市街の入り口付近で街歩きの起点に
・カテドラル周辺:ゴシック建築を観賞しつつ路地を散策
5.食文化を体験する
旧市街ではバル巡りが醍醐味。短時間でいくつかのバルをはしごして、地元の人の食べ方を観察するのも楽しい。ピンチョスだけでなく、タパスや地酒チャコリも試す。
6.写真スポットを意識して歩く
路地や広場、古い建物のファサードなど、絵になる景色が点在。人が少ない朝や午後のオフピーク時間帯に撮影すると、より風情ある写真が撮れる。
7.散策中の注意点
・路地が狭いので混雑時は譲り合いながら歩く
・スリなどの軽犯罪に注意する
・バルでの長居は避け、地元の流れに合わせて回る
8.小道や裏路地の魅力を楽しむ
観光客が多い通りだけでなく、細い路地や階段を上った先には、小さな広場や静かなカフェ、壁の装飾など、旧市街らしい発見がある。





サンセバスチャンのピンチョスによく使われる食材
サンセバスチャンのピンチョスは、バスク地方の豊かな海の幸と山の幸を凝縮したものです。カウンターに並ぶ色鮮やかな料理はそれだけで魅力的ですが、使われている代表的な食材を知っておけば、初めてのバルでも自分の好みを見つけやすくなります。
魚介類
- エビ(Gambas):シンプルに塩ゆでやガーリック炒めで提供
- アンチョビ(Anchoas):オリーブオイル漬けが多く、パンやピーマンと相性抜群
- タコ(Pulpo):ガリシア風に柔らかく茹で、オリーブオイルとパプリカで味付け
- イカ・イカ墨:フライやグリルで使用されることも
肉・加工肉
- チョリソ(Chorizo):スパイシーでパンとの相性がよい
- ハモン・セラーノ(Jamón Serrano):生ハムの薄切りをピンチョスに乗せる
- 豚肉の煮込みやソテー:小さな串焼きやタルティーヌ形式で
野菜・発酵食品
- パプリカ(Pimiento):グリル、マリネ、酢漬けなど
- マッシュルーム:バターやガーリックで炒めたもの
- オリーブ:アンチョビやチーズと組み合わせることが多い
チーズ・乳製品
- イドゥアサバル(Idiazabal):羊乳チーズで燻製風味が特徴
- ゴルゴンゾーラやカマンベール系:パンにのせて焼くことが多い
卵・マヨネーズ系
- ゆで卵やオムレツ(Tortilla):小さくカットしてパンにのせる
- アリオリ(にんにくマヨネーズ):海鮮や野菜に合わせる
パン・クラッカー
- 小さめのバゲットやトーストが基本
- 食材を乗せるだけでなく、ソースやオイルで味付けを吸収させる








日本人におすすめしたいピンチョス・食材
日本人は素材の味を生かしたピンチョス、塩味やオリーブオイルベースのものが合いやすいです。スパイシーすぎるものやクセの強い食材(内臓系やイカ墨など)は好みによるので、初めてなら上記の組み合わせが安心です。
アンチョビ+ピーマン+パン
- 塩味とオリーブの風味が日本人好み。軽くつまめてワインにも合う。
タコのガリシア風(Pulpo a la Gallega)
- 柔らかく茹でたタコにオリーブオイルとパプリカで味付け。日本人にも馴染みやすい味。
チーズ+ハムのタルティーヌ
- 濃厚なチーズと生ハムの塩気が絶妙。小ぶりなので何軒も回れる。
小さなオムレツ(Tortilla)ピンチョス
- ほっとする家庭的な味。卵の甘みとジャガイモの食感が食べやすい。
エビのガーリックソテー(Gambas al Ajillo)
- にんにく風味が効いていて日本人にも受けやすい。軽くビールや白ワインと合わせると◎。
野菜系グリル+アリオリ
- パプリカやマッシュルーム、ズッキーニなどを焼き、アリオリでアクセント。ヘルシーで彩りも良い。









注文の流れと役立つスペイン語
ピンチョスバルでは、注文や会計の流れに戸惑う観光客が多くいます。しかし、いくつかのシンプルなルールと、基本のスペイン語フレーズを覚えておくだけで、地元の人のようにスムーズに、そしてスマートにピンチョスを楽しむことができるようになります。
まずドリンクを頼む
- 店に入ったら、まずカウンターの店員と目を合わせ、「オラ(Hola:こんにちは)」と挨拶し、飲み物を先に頼む。
- おすすめはバスクの地酒「チャコリ(Txakoli)」、またはサクッと飲める「カーニャ(Caña:生ビール小)」だ。
- 例:「ウノ チャコリ ポルファボール(Uno Txakoli, por favor:チャコリを一つください)」
ピンチョスは指差しでOK
- 目の前のショーケースに並んでいるピンチョス(冷たいものが多い)は、指差しで「エステ(Este:これ)」と言えば通じる。
- 例:「エステ、ドス ポルファボール(Éste, dos, por favor:これを二つください)」
温かいものはメニューから
- バルで有名な「温かいピンチョス(カリエンテス)」は、カウンターには並んでいない。事前にネットで調べておき、スマホの写真やメモを見せながら注文するのが最も確実だ。
- 例:「フォアグラ、ポルファボール(Foie gras, por favor)」




支払いのタイミング
サンセバスチャンのピンチョスバルでは、日本の飲食店のように「伝票」を渡されて最後にまとめて精算する店もあれば、「キャッシュ・オン(都度払い)」や「自己申告制」など、ピンチョス文化特有の会計ルールが存在します。スマートに次の店へ移動するためにも、それぞれのバルでの精算方法とタイミングを事前に把握しておきましょう。
基本は「キャッシュ・オン」または「自己申告」
- キャッシュ・オン:注文時にその場で支払い(特に混雑時や観光客が多いバル)。
- 後払い(自己申告):最後にまとめて精算。串が刺さったピンチョスの場合は、残った串の本数で精算することが多い。現代の創作ピンチョスは、店員がレジで覚えているか、メモを取っている。
スマートな支払い方法
- 迷ったら、注文時に「クアント エス?(¿Cuánto es?:いくらですか?)」と尋ねて、その場で支払ってしまうのが最も簡単でスマートだ。
- 最後に会計をするときは、店員と目を合わせ「ラ クエンタ ポルファボール(La cuenta, por favor:お会計お願いします)」と伝えれば大丈夫だ。
現金を用意しておく
- 少額決済の場合や、昔ながらの小さなバルでは、クレジットカードが使えないこともある。10〜20ユーロ程度の細かい現金を準備しておくと安心だ。












