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大西洋の美しい海岸線が続く『ア・コルーニャ』。紀元前2世紀にケルト人によって設立された古代からの港町
紀元前2世紀にケルト人によって設立された古代からの港町です。その後、ローマ帝国、西ゴート王国、イスラム教徒、カスティーリャ王国など様々な勢力によって支配されてきました。旧市街には、中世の面影を残す石畳の路地や歴史的な建造物が並んでいます。
周辺には山や森などの豊かな自然があり、ハイキングやトレッキングなどのアウトドアを楽しむことができます。
また、リアス式海岸と呼ばれる入り江が深く入り込んだ海岸線も形成されており、美しい景色を楽しむことができます。
ア・コルーニャの安全・気候・インフラ
治安 | 治安は非常に良い。スリや置き引きも少ない。女性の一人旅でも比較的安全。 |
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水道水の飲用可否 | スペインでは一般的に水道水は飲用可能であり、サンタンデールでも安全に飲むことができます。ただし、水質の違いから味に敏感な方はミネラルウォーターを選ぶと安心です。 |
時差 | 日本より-8時間です(日本が午前10時の場合、サンタンデールは午前2時)。サマータイム期間(3月最終日曜〜10月最終日曜)は-7時間になります。 |
年間の気候 | 海洋性気候(Cfb)。夏は快適で、冬は長く寒く湿度が高い。風が強い(1月が最も強い)。 |
平均気温と降水量 | 夏(6〜9月)は日中30℃前後まで上がることもありますが、平均気温は20〜25℃程度で湿度は低めです。冬(12〜2月)は温暖ですが、朝晩は冷え込み、氷点下になることもあります。雨具は季節を問わず持っていくことをおすすめします。 |
電圧とコンセント形状 | 電圧は230V、周波数は50Hzです。コンセント形状はヨーロッパで一般的なCタイプまたはSEタイプが主流です。日本の電化製品を使う場合は、変換プラグと、必要に応じて変圧器が必要です。 |
ア・コルーニャの服装と文化・マナー
服装 | 基本的に東京と同じ季節の服装で問題ありませんが、朝晩の気温差が大きいため、季節を問わず薄手のジャケットやカーディガンなど、脱ぎ着できる羽織りものを必ず持参してください。地元民は上品なカジュアルな服装を好む傾向があります。 |
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服装に関するマナー | 教会や宗教施設に入場する際は、ノースリーブやショートパンツなど肌の露出が多い服装は避けましょう(入場を断られる場合があります)。膝丈程度のボトムスやスカートが無難です。高級レストランではスマートカジュアルが好まれます。 |
公用語と簡単な挨拶 | 公用語はスペイン語(カスティーリャ語)です。簡単な挨拶を覚えておくとコミュニケーションが円滑になります。 ・こんにちは:Hola(オラ) ・ありがとう:Gracias(グラシアス) ・お願いします:Por favor(ポル・ファボール) |
宗教や文化的なタブー | スペインの主要な宗教はカトリックです。宗教施設では静粛に。また、スペインの食事時間は夜が遅い(夕食は20時以降)のが一般的です。午後のシエスタ(昼休憩)の時間帯(14時〜17時頃)は、一部の商店が閉まることがあります。 |
祝祭日と営業時間 | 祝日(国民の祝日やサンタンデール独自の祝日)には、銀行や役所、多くの商店が休業します。一般的な営業時間は、朝〜14時頃まで開店し、シエスタを挟んで17時頃〜夜まで再開するパターンが多いです。観光地のレストランや大型店は通し営業していることもあります。 |
ア・コルーニャのお金と通信・交通
現地通貨の両替 | 通貨はユーロ(€)です。日本国内で主要な額を両替していくのが一般的ですが、現地空港や銀行、市内にあるATM(キャッシング)も広く利用されています。 |
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チップの習慣 | チップは義務ではありません。 |
キャッシュレス決済 | クレジットカード(Visa、Mastercard)やデビットカードが広く普及しており、ほとんどの店舗や施設で利用可能です。ただし、個人経営の小さなバルや商店では現金が必要な場合もあるため、少額のユーロ現金は持っておくと安心です。 |
Wi-Fi | ホテルや主要なカフェ、レストラン、空港などで無料Wi-Fiが利用できます。街歩きの際には、レンタルWi-FiやeSIMの利用が便利です。 |
主要な交通手段 | 市内の移動は主にバスが公共交通の中心です。観光地間の移動や荷物が多い場合はタクシーも便利です。近郊都市への移動には国鉄(Renfe)や長距離バスが利用されます。 |
ア・コルーニャのグルメ・ショッピング
飲食店 | ガリシア料理。海の幸(タコ、貝類、シーフード全般)が特に有名。地元の白ワイン「アルバリーニョ」が有名。タパスやピンチョスを楽しむバル文化が盛ん。賑やかなエリア(旧市街周辺など)でバル巡りが楽しめます。 但し、日祝日は営業していないお店が多いので注意が必要です。 場所によっては飲食店の数が極端に少ない場所があります。 |
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スーパー | 市内中心部に「メルカドーナ (Mercadona)」、「ガディス (Gadis)」などの主要なスーパーマーケットが点在。Marineda Cityという大きなショッピングセンターもあります。 |
カフェ | マリア・ピタ広場やロス・カントネス周辺に、テラス席を持つ歴史的なカフェやモダンなカフェが多数存在します。 |
買い物環境 | マリティマ大通りやフアン・フローレス通り周辺に主要な店舗が集中。Marineda City(郊外)には多くのブランドが集積。街がコンパクトにまとまっており、中心部での買い物は徒歩でしやすいです。 |

ア・コルーニャの旅のアドバイス
ア・コルーニャは、スペイン北西部のガリシア州に位置する、大西洋の荒々しさと豊かな緑、そして古代の歴史が融合した魅力的な港湾都市です。一般的な「スペイン旅行」のイメージとは一線を画す、この街ならではの旅のヒントと特徴をご紹介します。
街は「徒歩」で巡るのがベスト
ア・コルーニャ観光における最大の利点は、その街のコンパクトさです。主要な見どころである旧市街、マリア・ピタ広場、そしてリアソール・ビーチといったスポットは、すべて港を基点に徒歩で移動できる範囲に集中しています。
基本はウォーキング
観光の際は、まず歩くことを前提に計画を立てましょう。石畳の歴史地区から海沿いの遊歩道まで、ア・コルーニャの美しい景観は徒歩でこそ深く味わえます。
ヘラクレスの塔はタクシー利用も視野に
唯一、街の中心部から少し離れているのが世界遺産の「ヘラクレスの塔」です。体力に自信があれば片道約 3km の遊歩道を歩けますが、時間を節約したい場合はタクシー(片道 8 ユーロ程度)を利用するのが賢明です。
バス利用の注意点
市内バスは便利ですが、乗車時に細かいユーロ硬貨か交通系ICカードが必要になることが多いため、あらかじめ準備しておくとスムーズです。
効率的な観光ルート:古代の塔からモダンな海岸線へ
ア・コルーニャの観光は、歴史から自然へと向かう「半島周遊ルート」が効率的でおすすめです。
マリア・ピタ広場からスタート
荘厳な市庁舎がある広場から始め、周辺のカフェで地元の雰囲気に浸ります。
旧市街の散策
広場から南下し、ロマネスク様式のサンティアゴ教会が残る旧市街の静かな路地を散策します。ここが巡礼路「イングランドの道」の出発点の一つであるという歴史も感じられるでしょう。
ヘラクレスの塔へ移動
タクシーまたはバスを利用して、街の北端にそびえるヘラクレスの塔へ向かいます。塔からの絶景を堪能した後、広大な彫刻公園を巡ります。

遊歩道を南下
塔から中心部へは、大西洋沿いの遊歩道(Paseo Marítimo)を歩いて戻るのが最高のコースです。道中にある体験型科学館「ドムス」や、海岸線に沿って広がるリアソール・ビーチを眺めながら、旅の締めくくりとしましょう。
他のスペイン地域では味わえないア・コルーニャ独自の魅力
ア・コルーニャが持つ魅力は、スペイン南部や地中海沿岸の都市とは一線を画しています。
緑豊かな「もう一つのスペイン」
アンダルシア地方の乾燥した景観とは対照的に、ア・コルーニャは雨が多く、年間を通じて緑が豊かな「エスパーニャ・ベルデ(緑のスペイン)」の一部です。夏でも最高気温が 24∘C 程度と涼しく、暑さに弱い方には最適な避暑地です。
世界遺産の灯台が街のシンボル
ア・コルーニャのシンボルは、現役で世界最古の灯台である「ヘラクレスの塔」です。これはアルハンブラ宮殿やサグラダ・ファミリアといった他のスペインのランドマークとは異なり、古代ローマ時代から続く航海の歴史と、大西洋の力強い自然を感じさせる独自の存在感を放っています。
ガラス窓のバルコニー「ガレリアス」
マリーナ大通りに見られる、建物の正面を覆うガラス窓のバルコニー(ガレリアス)は、この地域特有の建築様式です。日照時間を最大限に活用するために生まれたこの景観は、ア・コルーニャを非常に明るく、エレガントな街に見せています。
シーフード重視の食文化
食文化の中心は新鮮な海の幸です。南部のイベリコ豚やパエリアが主役の地域と異なり、ガリシア地方はタコ、貝類、バカリャオ(タラ)といったシーフードが有名で、地元産の爽やかな白ワイン「アルバリーニョ」とのペアリングは格別です。タパスも、素材の味をシンプルに活かした料理が多いのが特徴です。
ア・コルーニャの軌跡
嵐の海を守る、古代のヒーローの塔
ア・コルーニャは、なんと約2,000年も前から人々が生活していた、とっても古い港町です。
この街のシンボルといえば、海にそびえ立つ「ヘラクレスの塔」でしょう。この塔は、世界で最も長く使われ続けている灯台として、ユネスコの世界遺産にも登録されています。昔のローマ人が建てたこの灯台は、名前の通り古代ギリシャの英雄ヘラクレスが作った、という伝説があるほど、古くからこの街の運命を見守ってきました。大西洋の荒波から船を守るために、暗い夜もずっと光を放ち続けている、まさに海のヒーローなのです。
海の玄関口としての宿命と、マリア・ピタの勇気
ア・コルーニャは、ヨーロッパの国々をつなぐ「海の玄関口」として、特に中世の時代にとても大切にされてきました。
この街は、キリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼者たちが、イギリスや北の国から船で降り立つ最初の場所でした。ここから巡礼路を歩き始めたため、「イングランドの道」の始まりの街としても知られています。
しかし、海が近いことは危険とも隣り合わせでした。今から約400年前、1589年にイギリスの海賊たちが街を攻めてきたときのことです。この時、マリア・ピタという一人の女性が、「私と一緒に戦いなさい!」と市民を導き、イギリス軍を追い返すという大活躍をしました。彼女は今でも街の英雄として讃えられ、中心の広場は「マリア・ピタ広場」という名前になっています。

ガラスの街並み「ガレリアス」誕生の裏話
ア・コルーニャの街並みで一番美しいのは、港沿いにずらっと並ぶ、全面がガラス窓で覆われたバルコニーの建物です。これは「ガレリアス」と呼ばれています。
実はこのガレリアスには、寒い気候を乗り切るための工夫という「裏話」があります。ア・コルーニャがあるスペイン北部は、皆さんが想像する南部のイメージと違って、冬は寒く、雨や風が強い日が多いのです。
そこで、人々は、太陽の光を少しでも多く取り込み、室内を暖かくするために、家の正面を大きなガラスで囲むようになりました。これは、まるで「自然の温室」のような効果を生み出しました。この工夫のおかげで、街はいつもキラキラと明るく見え、世界でも珍しい、独特な美しい景色を作り出しているのです。

現代のア・コルーニャ:歴史と未来が交差する港町
古い塔と英雄の物語を持つア・コルーニャは、今もガリシア地方の中心地として力強く発展を続けています。歴史とモダンアート、そして大西洋の自然が見事に交差しているのが、この現代の街の大きな魅力です。
大西洋と暮らす、市民の憩いの場所
現代のア・コルーニャの生活は、常に海と一緒です。その象徴が、全長10キロメートルを超える「遊歩道(パセオ・マリティモ)」です。この遊歩道は、ヘラクレスの塔がある北の岬からリアソール・ビーチを通り、街全体をぐるっと囲むように続いています。地元の人たちは、朝のジョギングや夕方の散歩、家族でのサイクリングにこの遊歩道を利用します。ここは、単なる道ではなく、ア・コルーニャ市民が海とつながる大切な生活空間なのです。

また、街の中心地にあるリアソール・ビーチは、夏になるとたくさんの人で賑わいます。ここは「街中にあるビーチ」としては珍しく、水がきれいで波も穏やかなため、市民が気軽に海水浴を楽しむことができる最高の場所です。ビーチの一角には、地元のサッカーチーム「デポルティーボ・デ・ラ・コルーニャ」のスタジアムもあり、試合の日には街全体が熱気に包まれます。
新しい文化と歴史の融合
ア・コルーニャは、古いロマネスク様式の建物や石畳の旧市街を大切に守りながらも、新しい文化を取り入れることにとても積極的です。
その代表が、海沿いに建つユニークな建築の「ドムス(人間科学館)」です。日本の有名な建築家が設計したこの建物は、生命や人体をテーマにした体験型の展示がたくさんあり、子どもから大人まで楽しみながら学ぶことができます。歴史あるヘラクレスの塔の近くに、このようなモダンで未来的な建物が建っているのは、「古いものを大切にしつつ、常に新しい知識や文化を受け入れる」というア・コルーニャの姿勢を表しています。

さらに、中心部にあるマリア・ピタ広場は、今も昔も街の中心です。歴史ある市庁舎の建物はそのままに、広場周辺には新しいお店やカフェ、レストランが並び、夜遅くまで賑わいます。過去の英雄マリア・ピタが守り抜いたこの場所で、現代の人々が毎日を楽しく過ごしているのです。

この街では、美味しい海の幸を味わうバル文化も欠かせません。新鮮なタコや貝類を使った料理を楽しみながら、歴史の「軌跡」と現代の活気の両方を、ぜひ感じてみてください。
ア・コルーニャの名産品
- プルポ・ア・ラ・ガジェガ (Pulpo a la gallega):ガリシア風タコ料理。茹でたタコにオリーブオイル、塩、パプリカパウダーをかけたシンプルな料理で、この地方のバル(居酒屋)では定番中の定番です。ア・コルーニャでもタコ料理は特に有名です。
- 魚介類・タパス:港町らしく新鮮な魚介類が豊富です。エビ、イカのフリット、マテ貝の酒蒸しなど、様々なタパス(小皿料理)が楽しめます。
- ケソ・デ・テティージャ (Queso de Tetilla):乳房の形に似た特徴的なガリシア地方のチーズ。牛乳から作られる、まろやかでクリーミーな味わいが特徴です。
- エンパナーダ (Empanada):魚介類や肉、野菜などをパン生地で包んで焼いたガリシア地方のパイ。軽食やおつまみにもぴったりです。
- エストレージャ・ガリシア (Estrella Galicia):ガリシア地方を代表するビールで、ア・コルーニャにも直営の店があります。クリアでフレッシュな味わいが人気です。
- ワイン:ガリシア地方の白ワイン、特にアルバリーニョ (Albariño)種のワインなどが名産です。
- マルシャス・デ・ナタ (Maruxas de nata):生クリームと小麦粉を使って作られる一口サイズのクッキー。ガリシア地方で古くから愛される素朴なお菓子です。
- レース編み:伝統的なレース編みもこの地方の工芸品として知られています。
- セラミック、木工品:ガリシア地方の伝統的な工芸品として見られます。
ア・コルーニャの年中行事
3~4月頃 | |
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春頃 | |
6月23~24日 | |
8月 |